「取引している相手が代金を支払わない」というのは、弁護士が相談を受ける代表的なトラブルの一つです。
弁護士は、このような代金回収のご相談を受けた場合、まず、相手がなぜ代金を支払わないのかを確認します。なぜなら、相手が支払いをしない理由によって、必要な証拠や、対応の仕方が変わってくるからです。
【相手が支払いをしない理由の例】
1.そもそも発注(契約)していない。
2.商品や仕事の内容に不備がある。
3.資金繰りが苦しくて、支払いを待ってほしい。
【事例1】 御社「発注した」 相手「発注していない」
【事例2】 御社「契約したとおりの仕事をした」 相手「いや、仕事の内容に不満がある」
裁判で、こんなふうに言い分が食い違った場合は、裁判所に証拠(契約書、納品書、相手とのやり取りのメール等)を提出して、御社の言い分を証明する必要があります。裁判を起こさずに相手と交渉する場合でも、証拠が揃っているかどうかで、交渉が有利に進むこともあれば、不利な条件で示談せざるをえないこともあります。 どんな証拠が必要か、相手の言い分ごとに考えてみましょう。
契約が成立したことの証拠が必要!
相手がこんな主張をするのは、契約書がないケースが多いでしょう。
契約は、原則として、口頭で合意しても成立します。しかし、相手が契約したこと(発注したこと)を認めない場合は、契約が成立したことを証明しなければ、裁判で負けてしまうんです。契約書がない場合でも、例えば、メールのやり取りなどが証拠になる場合もあります。
相手「商品○○をお願いします」御社「代金は○○円になります」相手「了解しました。よろしくお願いいたします」 こんなメールのやり取りがあれば、契約成立の証拠になるでしょう。
申込書、注文書なども、重要な証拠の一つです。
取引をするときは、「契約が成立したことの証拠を残しておく」ということを、ぜひ意識してください。
提供すべき商品、やるべき業務の具体的な内容」「納品・業務が完了したこと」に関する証拠が必要!
相手が【事例2】のような主張をするのは、契約の内容(どんな内容の商品・サービスを提供することになっていたのか)が曖昧であるケースが多いでしょう。契約の内容が曖昧な場合は、「その契約に至るまでの、相手とのやり取り」から証明できないかを検討します。
たとえば、契約の前に相手に示した見積書に、作業の内容ごとに金額が書いてあれば、契約の内容(=やるべき業務の内容)を証明する有力な証拠になるでしょう。契約に至るまでの相手とのメールのやり取りなども重要です。
ただ、やはり、契約書に、どんな商品・サービスを提供するのか、どんな作業をするのか、どんな成果物を完成させるのか、といった内容が詳しく書かれていないと、裁判での証明が難しくなってしまうことが多いのが実情です。
取引をするときは、きちんとした内容の契約書を作成しておくことで、代金が回収できなくなるリスクを減らすことができるのです。
裁判に勝ったのに相手が支払わない、という場合は、裁判所に強制執行という手続を申請すれば、
相手の資産(預金、売掛金、給与、不動産)から強制的に回収することができます。
しかし、相手の資産の内容(預金口座のある銀行支店、売掛先の会社名、給与をもらっている勤務先、不動産の所在地など)が分からなければ、強制回収できないんです。
逆に、取引先の資産内容が分かっていれば、裁判などを起こす前に、その資産を裁判所に確保しておいてもらう(例:預金を下ろせなくする、不動産を処分できなくする、売掛先に代金の一部を供託しておいてもらう)ということも可能です(仮差押といいます)
ですから、取引しようとする相手の信用に不安があれば、何らかのかたちで、相手の資産内容を聞きだしておくことも有益です。
「取引先とは長い付き合いなので、信頼関係を崩したくない」「弁護士費用をかけたくない」 こんなご事情がある場合は、弁護士に法律相談をしてアドバイスを受けながら、ご自身で相手と交渉してみるといいでしょう。
弁護士が御社の代理人となって、相手に請求書を送ることができます。
その場合、請求書の内容や相手への配達を郵便局に証明してもらえる「内容証明郵便」という方法を使うことが一般的です。
弁護士が送る請求書には「支払わなければ、法的措置をとる」という警告文を書き、最後通告として送付することが多いです。
交渉しても相手が支払わなければ、裁判を起こすことを検討します。
裁判を起こす前に、相手の資産を裁判所に確保してもらう手続(仮差押など)、
裁判で勝ったのに相手が支払わない場合に、判明している相手の資産から強制的に回収する手続(強制執行)を申請することができます。
1時間1万円(複雑な事案の場合は2万円) 【顧問先】時間無制限(無料)
1通3万円 【顧問先】原則として実費のみ(3000円程度)
(以下は、標準的な費用です。請求金額の大小、事案の複雑さ、解決までに要する見込期間などにより、かかる費用は前後することがあります)
《着手時》請求金額の10% 【顧問先】1割引き~10割引き
《回収時》回収金額の10%~20% 【顧問先】1割引き~5割引き
着手時、回収時ともに、裁判費用の半額程度 【顧問先】1割~10割引き
取引先が代金を支払わない場合、相手が支払わない理由を確認したうえで、参考になりそうな資料 (=証拠、契約書、相手とのやり取りのメールなどの書面)を準備し、法律相談をしてみてください。